文学散歩[干刈あがたの青梅]第3回

文学散歩[干刈あがたの青梅]第3回

ポプラの駅から青梅まで

~干刈あがたの作品に登場する地を訪ねる~

作品『野菊とバイエル』に描かれた場所を中心に

彼女の通学路や生家跡等を巡り青梅宿の歴史を紹介する。

 

 


 

 

 コスモス忌の当日の午前中、河辺市民センター主催の文学散歩が青梅の市報を見て参加された方とコスモス忌の顔なじみと20数名の参加者で行われた。
 『野菊とバイエル』に出てくる、ポプラ並木の駅、河辺駅に集合して河辺市民センター所長の大倉十彌也氏よりコースの説明と資料をいただき出発。
 作品の中のポプラは地境として植えられた欅の並木であり、ポプラとして描いた作者の感性を思い、古い河辺駅の写真を見せてもらって、今の駅舎横のマクドナルドのとんがり屋根が懐かしい風景に思えた。
 資料の新旧対照図を見ながら、青梅鉄道が石灰石運搬のためのもので、河辺駅は青梅の石の駅であったこと、青梅縞から綿の夜具地に転向して、最盛期を迎えた織物の歴史を聞きながら、干刈あがたの生家付近と級友達の家のあたりの散策が続いた。
 雨を心配していたこの日、爽やかながら、日差しはまだ夏の輝きを持っていて「雨宿りならぬ、木陰を求めて日差し宿りしながらの散策です」と大倉氏。
 踏切を渡って、作品の中の青梅第2小、現、青梅第4小学校に到着、詳しく書かれている学校の引越しの場面から、作者の姿が偲ばれた。
 参加者の中にも青梅4小の出身者がいて、当時の小学生の生活の様子やあそびなど興味深く聞きながら、線路沿いの通学路を青梅に向かった。
 通学路を行き来した女、干刈あがたの目になったつもりで、乗願寺、勝沼神社宗徳寺、西分神社、公民館など眺めながら、彼女が闘病中に「青梅へ行ってみたい」と言っていたことを思い出していた。
 通学路を離れて、青梅の商店街に入り、最近すっかり名物になったレトロな手書きの映画看板の説明に心躍らせて、街の商店の壁を飾る板観さんの作品から青春時代の再現に思いを馳せた。
 2時間20分程の文学散歩終了。ふと見ると、干刈あがたの墓所 宗建寺のすぐそばだった。大倉氏に感謝し、早くも来年を期待します。

古橋 真知子