佐伯 一麦
HP『干刈あがた資料館』に寄せて

2000年9月9日   佐伯 一麦  

 たおやかにコスモスが咲く折、HP『干刈あがた資料館』の開館を心からお慶び申し上げます。『おんなコドモの風景』というエッセイ集があるように、干刈 さんは女と子供の生活の場が豊かで楽しいということを、子供心を忘れがちなわれわれ男性にずいぶんと教えてくれました。そして、干刈文学の魅力は、独りよ がりだったり、仲間内だけで通用するような知的な言葉遊びに堕しているものが多い現代文学の中にあって、何気ない日常生活の細部から、人生の機敏にふれた 情景をこれ見よがしではなく、そっと差し出してくれるところにある、とつねづね思っています。その一見おだやかな中間色のトーンの底には、人生の元手をか けている作者の気合いが込められているのを、私は読むたびに強く感じ取ります。最近では、「おんなコドモ」だけではなく、男性にも普通のことになった茶髪 を見かけるたびに、干刈さんの代表作『黄色い髪』を思い出し、その文学は、時代の予兆にも光をあてていたことに改めて思いを致している次第です。HPとい うスペースも干刈さんらしいような気がします。