目次

 

Ⅰ 干刈あがた論

  1. アジア的概念としての〈家族〉とアジア的〈母性〉の終焉
  2. 私家版「ふりむんコレクション・島唄」の文体と方法および出自としての南島
  3. 干刈あがたにとって永瀬清子とはなにか、あるいは「樹下の家族」の構造
  4. 「Love」を発見した日本の家族および干刈あがたにとって「兄」とはなにか
  5. 〈少女〉であることの不可能性と〈母〉であることの不可能性─「黄色い髪」から「酒鬼薔薇聖斗」への10年
  6. 補遺 江藤淳「成熟と喪失>“母”の崩壊」と干刈文学のモチーフ

 

Ⅱ 干刈あがた再論

  1. 「樹下の家族」─作品構成上の破綻と作家・干刈あがたの誕生
  2. 「プラネタリウム」─離婚する前の最後の家族の姿を記念として残した作品
  3. 「雲とブラウス」─二十二年遅れのラブレター
  4. 「ウホッホ探検隊」─干刈あがたの未成熟さと作品の未成熟さ
  5. 「ふりむんコレクション」と干刈あがたの自死願望
  6. 「月曜日の兄弟たち」─叙景描写における俯瞰視線と干刈の「見る」という役割
  7. 「ゆっくり東京女子マラソン」─社会へと開かれた八〇年代の等身大の母親像
  8. 「入江の宴」─“暗い唄の旅”の中の「私」へのレクイエム
  9. 「幾何学街の四日月」─はじめての“私”の情事を描いた作品
  10. 「ビッグ・フットの大きな靴」─最も私小説的な母子の情景
  11. 「姉妹の部屋への鎮魂歌」─自死願望の少女が妊娠・出産・母親へ
    母親になった少女期の“私”となれなかったもう一人の“私”
  12. 「ワンルーム」─“樹下の家族”から“ビッグ・フットの大きな靴”までの
    離婚前後の“私”を三人称の文体にして静かに振り返っている作者
  13. 「裸」─男と女の情事をいかに書くか・前期干刈あがたの到達点
  14. 「予習時間」─「裸」の翌月に発表された作品
  15. 「ノンタイトル・ガールの故郷紀行」─「裸」以後の最初の作品
  16. 「しずかにわたすこがねのゆびわ」─後期・干刈あがたの大きな第一歩
  17. 「ラスト・シーン」─つかの間に訪れた平穏な時間
  18. 「ホーム・パーティー」─書きたいものを全て書いてしまった後の初めての作品
  19. 「回廊」─単行本未収録作品
  20. 「十一歳の自転車」「借りたハンカチ」─後期・干刈あがたが見つけた著作方法論
  21. 「黄色い髪」─後期・干刈あがたの思わぬ屈折点
  22. 「マジ」─“昭和天皇の崩御”後の世相を批判した読切短篇
  23. 「アンモナイトをさがしに行こう」─「黄色い髪」後遺症からのソフトランディング
  24. 「窓の下の天の川」─〈死〉からの視線で自らの作品を振り返った干刈文学の集大成
  25. 「ウォークinチャコールグレイ」─六二年大学の新聞学科入学から六四年大学を
    中退するまでの自伝的な小説
  26. 「もう一つ」─『海燕』九十年四月号、闘病前最後の中短篇
  27. 「野菊とバイエル」─少女への転機であった小学三年生の“ミツエ”と青梅の風景
  28. 「名残のコスモス」─九篇の短篇からなる著者最後の単行本
  29. 補遺 未発表原稿「東支那海幻影Ⅰ」と作詞家・浅井和枝について

 

干刈あがた年譜

干刈あがた作品紹介

干刈あがた著作年譜

干刈あがた参考文献一覧

付録・干刈あがたの小物写真

あとがき